展覧会・文化財を見てきました。

─展覧会鑑賞・文化財見学に関する勝手な感想─

最終更新日 7月20日

2024年度

4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月


4月4
仁和寺霊宝館
 春季名宝展 仁和寺の動物大集合
(3月23日~5月6日)

 仁和寺伝来資料の中から、動物が登場する絵画や古記録、聖教類を展示。南北朝時代の普賢延命像は台座に小さな像がずらり。正保3年(1646)に高野山蓮華三昧院光宥から御室へ寄進。十二支の動物標識を表した白描の薬師十二神将図像をありがたく鑑賞。獣頭像と動物上に座す像が混ざる。安永2年(1779)源證筆の孔雀明王像は精緻で豪華な一幅。鳥獣人物戯画や石山寺縁起の近世模本も伝来。リーフレットあり。

相国寺承天閣美術館
 頂相-祖師たちの絵姿 Ⅰ期
(3月17日~5月12日)

 相国寺と塔頭等に伝来した頂相を一堂に展観。80幅の高僧像が並び懸けられる圧巻の展示空間。相国寺の列祖図は祖師30人を承応4年(1655)に狩野探幽以下の一門が描いたもの。探幽はうまいが、興甫もうまい。夢窓疎石の頂相が南北朝時代のものから江戸時代のものまで初公開資料を含んでずらりと並ぶ空間も圧巻。展示は臨済僧の流派の存在や、僧の出世やライフコースを示して、頂相が必要とされる僧団組織上の事情にも目配りする。Ⅱ期(5月26日~7月21日)も含めて122件の出陳、うち半数の63件が初公開とのこと。空前の頂僧展。必見。図録あり(A5版・64ページ、1200円)。

4月6日
薬師寺・唐招提寺

 新入生研修会として恒例の薬師寺・唐招提寺巡拝。薬師寺境内の旧正強中学校校舎も間近に見学。

4月13日
奈良国立博物館
 生誕1250年記念特別展 空海 KUKAI-密教のルーツとマンダラ世界
(4月13日~6月9日)

 空海生誕1250年を記念して、真言宗諸大寺の文化財を一所に集めて空海の密教思想を展示室に体現。安祥寺五智如来坐像、金剛峯寺両界曼荼羅(前期)、西大寺十二天像(前期)、室生寺真言八祖像(前期)が並ぶ第一室は密教のマンダラ世界と修法空間を組み合わせて体感させるものであり圧巻。空海所縁の資料は金剛峯寺聾瞽指帰(前期)、東寺真言七祖像(前期)、同風信帖(前期)、同西院曼荼羅(前期)、仁和寺三十帖冊子、神護寺灌頂歴名(前期)、同両界曼荼羅(前期胎蔵曼荼羅、後期金剛界曼荼羅)など、前期展示(~5/12)に多く配分。インドネシア国立中央博物館所蔵のジャワ島各地で出土した密教諸尊や密教法具を日本で初めて紹介できたことは、ナショナルミュージアムとしてふさわしい重要な活動成果。本年正月の大震災にて被災した能登半島から、難しい状況の中最善を尽くして珠洲市法住寺不動明王坐像の出陳がかなったことは、展覧会と現代社会とをつなぐメッセージであり特筆される。図録あり(304ページ、3000円)。

4月16日
東大寺法華堂

 美術史実習の見学初回は東大寺法華堂。南大門、鐘楼・梵鐘を解説してから法華堂入堂し諸尊像の説明。一般のご参拝者からも質問いただき解説。

4月18日
智積院宝物館
 総本山智積院宝物館 開館特別展示 第4期
(2月1日~4月29日)

 長谷川等伯ほかの障壁画とともに、寺宝公開。重要文化財の童子経曼荼羅をじっくり。

4月21日
豊浦寺・飛鳥寺・酒船石・飛鳥宮跡・亀石・猿石

 文化財演習の史跡踏査で明日香村を歩く。あいにくの雨。

4月23日
奈良国立博物館
 生誕1250年記念特別展 空海 KUKAI-密教のルーツとマンダラ世界
(4月13日~6月9日)

 美術史実習見学会。さっそく奈良博空海展再訪。

奈良県立美術館
 特別展 小川晴暘と飛鳥園 100年の旅
(4月20日~6月23日)

 小川晴暘による創立から100年を迎えた飛鳥園に着目し、その作品群のプリントを年代順に提示して、仏教美術研究の上で果たした役割を紹介。晴暘以来の黒バックで光源を少数に絞った陰影ある象徴的な写真は、さまざまな書籍で誰もが見てきた大きな影響力のあるものばかりで、本展が紛れもない仏像展であることを実感。ほか、晴暘筆の大きな雲崗石窟スケッチや小川光三の敦煌莫高窟の写真など見応えあり。図録あり(120ページ、2750円)。

4月25日
なら歴史芸術文化村
 特集展示 修理完成記念 當麻寺の仁王さん
(4月6日~5月12日)

 ニホンミツバチの営巣により朽損が進み、同施設内にて修理が施されていた當麻寺仁王像のうち阿形像の完成を記念し展示公開。修理前の状況から修理中の工程、判明した墨書と仏師(田中主水)のことなど丁寧に紹介。多数のパネルはさまざま配慮が行き届いていて(ミツバチ群のパネル前には注意表記あり)、また近世仏師に関する最新の研究成果が盛り込まれ、ありがたく学ぶ。図録あり(48ページ、1000円)。4

5月1日
東京国立博物館
 特別展 法然と極楽浄土
(4月16日~6月9日)

 浄土宗開宗850年を記念して、浄土宗諸本山が連携して開催する大法然展。當麻寺奥之院法然坐像、當麻寺綴織當麻曼荼羅、知恩院法然上人絵伝、阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)、来迎寺善導大師坐像、金戒光明寺山越阿弥陀図屏風など浄土教美術の優品を集めるとともに、宗門展らしく法然の弟子とその法脈への目配りとともに、江戸時代の浄土宗僧の活動と浄土宗寺院の近世の特徴的な文化財を紹介する。本展事前準備の調査で確認された百万遍知恩寺法然上人裸形着装像のケースとパネルの間を行き来しながらじっくり拝観。図録あり(395ページ、3000円)。

 令和6年新指定国宝・重要文化財
(4月23日~5月12日)

 恒例新指定文化財展に馳せ参じる。大報恩寺六観音像のうち准胝観音立像、八坂神社午頭天王坐像・十一面女神坐像、南禅寺の仏像群(薬師如来坐像・十一面観音立像・天王立像)、安楽寺阿弥陀如来立像などなど、間近にありがたく鑑賞。八坂神社の2軀の神像を比較しながら何度も行き来。図録あり(88ページ、1600円)。

 特集 行道面 ほとけを演じるための仮面
(4月2日~5月26日)

 東博所蔵の行道面をまとめて展示公開。天野社伝来の二十八部衆面と正和2年(1313)名の鬼面、そして高野山学侶宝蔵古器及楽装束図をありがたく鑑賞。ほか浄土寺菩薩面や重蔵神社の菩薩面など。館蔵品の平安時代・12世紀の菩薩面(列品番号C-12)については、年代判断の要素がよく分からず。図録なし。

東京藝術大学大学美術館
 大吉原展
(3月26日~5月19日)

 吉原遊郭の歴史的・文化的位置を多数の浮世絵など美術資料を用いて示す。著名な浮世絵及び肉筆浮世絵を多数集め、吉原遊郭成立と展開の歴史的経緯とともに、遊女の暮らしや、さまざまな文化発信の源泉となった場の特殊性を提示し、遊郭吉原の「表の顔」にクローズアップする。江戸時代において一定の統制のもと出版されたメディア作品を用いたことで「悪所」の要素(特に性的要素)が全体を通じて前に出ない点は遊郭の実態からの乖離がある一方、それは現代社会における統制された風俗産業イメージの流布のあり方とも同様であり、例えアングラ作品(例えば春画)を用いたとしてもそのまなざしは非対称的なものとしかなりえない。そうした吉原イメージを眺める人々(昔も今も)の存在も含め、江戸時代と現代は会場で重ね合わさる。「浮世絵に見る吉原の装飾美と文化発信」というようなタイトルが穏当と思われるが、集客のためのタイトルの拡大と広報スタンスが、絵画資料から見える(見ることができる)吉原イメージと歴史的実像としての「悪所」吉原との乖離を広げたといえる。本展を巡る批判からは、展覧会という場が現代社会のさまざまな側面とつながり、相互の応答をもそこに投影していく生きたメディアであることを再認識する。その点で、展覧会準備の最終段階で、取り得るさまざまな弁明を展示内に可能な範囲で追加された(であろう)ことは、社会との応答という点で重要な行動といえる。図録あり(348ページ、3500円)。巻頭論文の田中優子「吉原という「別世」」はメディアイメージとしての吉原の文化と現実の吉原にて苦役に就く遊女の苦しみを対比的に捉え、美術資料の持つフィクション性を示す堅実な内容。

半蔵門ミュージアム
 音を観る-変化観音と観音変化身-
(4月24日~9月1日)

 新収蔵の如意輪観音坐像とともに、収蔵資料のなかから観音信仰にまつわる作品を紹介。鎌倉時代の如意輪観音像や室町時代の准胝観音像、五智国分寺伝来之十一面観音立像、法用寺伝来の三十三応現身像のうち梵王身像(明徳5年〔1394〕)、高野山伝来の阿弥陀三尊来迎図(南都絵所か)など、中世に遡る仏教美術の優品が着実に収集されていることを知る。運慶の大日如来坐像のまわりをぐるぐる巡り、醍醐寺伝来如意輪観音坐像を前から横から間近に鑑賞。図録なし。

5月3日
龍谷ミュージアム
 特別展 文明の十字路・バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰-ガンダーラから日本へ-
(4月20日~6月16日)

 バーミヤン遺跡壁画の新たな描き起こし図(宮治昭監修・正垣雅子図)の完成を記念し、東大仏と太陽神、西大仏と弥勒仏に着目した上で、弥勒信仰のアジア伝播の諸相を紹介する。インド、中央アジア、中国、朝鮮半島、日本の弥勒像が集まる圧巻の内容。仏像では妙傳寺菩薩半跏像、野中寺弥勒菩薩半跏像、法隆寺弥勒菩薩坐像、霊現寺弥勒菩薩立像、仏画では法隆寺法相曼荼羅、慈尊院弥勒菩薩像(後期)、五坊寂静院弥勒下生変相図(後期)など。東大寺中性院弥勒菩薩立像が期間限定(~5/6)で公開。納入品とともにありがたく鑑賞。図録あり(208ページ、2,400円)。


5月5日
大田庄資料館
 企画展 今高野山の歴史展Ⅱ-多宝塔造立700年・元本尊木造大日如来坐像が語る今高野山の歴史-
(3月23日~5月13日)

 高野山領大田荘の拠点寺院龍華寺の多宝塔にかつて安置された元亨3年(1323)銘を有する大日如来坐像を寺外初公開。広島県指定文化財。ほか同寺密教法具など。図録なし。

5月7日
西大寺

 美術史実習で西大寺見学。四王堂の四天王立像(邪鬼)、十一面観音立蔵、聚宝館の金銅宝塔、塔本四仏、密教法具、本堂の釈迦如来立像、文殊五尊像、弥勒菩薩坐像、愛染堂の叡尊坐像を解説しながらお参り。

5月14日
龍谷ミュージアム
 特別展 文明の十字路・バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰-ガンダーラから日本へ-
(4月20日~6月16日)

 美術史実習で再訪。朝鮮・三国時代の新資料である妙傳寺菩薩半跏像をじっくり鑑賞。シアタールームでバーミヤンの空撮映像も鑑賞。図録あり(208ページ、2,400円)。

京都国立博物館
 特別展 雪舟伝説-「画聖」の誕生-
(4月13日~5月26日)

 画聖雪舟を仰ぎ写し学び受容した近世の絵師のあり方に、多数の絵画作品を集めて迫る。冒頭、雪舟の手になる秋冬山水図(東博)、山水図(京博)、四季山水図(東博)、四季山水図巻(毛利博物館)、破墨山水図(東博)、山水図(個人蔵)、天橋立図(京博)、四季花鳥図屏風(京博)。慧可断臂図(齊年寺)がずらり並ぶほか、雪舟作品を徹底して集め、全て通期展示の圧巻。眼福。ほか、狩野派、雲谷派などの作品多数。雪舟富士図の構図が蕩々と引用され幕末の蘭画まで踏襲されていくさまを提示する手法はとても理解しやすく、美術史展示の真骨頂。図録あり(264ページ、3000円)。

5月21日
国立民族学博物館
 特別展示 日本の仮面-芸能と祭の世界-
(3月28日~6月11日)

 全国各地の祭礼で用いられている仮面を多数集約する。古戸田楽の田楽面、上鴨川住吉神社の仮面群、硫黄島のメンドン、鳥取東照宮の東照宮祭礼の面被行列、鎌倉・御霊神社の面掛行列、出雲神楽貸元林木屋の神楽面、矢田寺の練供養などを集めるほか、博物館収蔵の仮面を活用して仮面表現の多様なありかたを紹介。総数700点とのこと。舞楽や猿楽等の伝統芸能はほぼ取りあげず、民間仮面の歴史的文化的価値を共有する貴重な機会。図録あり(192ページ、2000円)。

 みんぱく創設50周年記念企画展 水俣病を伝える
(3月14日~6月18日)

 水俣病発見から約70年たち、その被害を伝える現在の活動のさまざまを紹介。水俣病歴史考証館の収蔵資料や職員の活動、水俣病を語り継ぐ会のとその啓発事業など、実物とパネル、映像を用いて紹介。図録なし。

逸翁美術館
 地蔵と地獄
(4月13日~6月9日)

 館蔵の地蔵十王図が新たに重要文化財に指定されたことを受け、地蔵菩薩と地獄をあらわした絵画資料を集める。龍谷ミュージアム地蔵十王図、香雪美術館閻魔王図、聖衆来迎寺六道絵(文政本)、永観堂禅林寺十王図など。図録なし。

5月25日
奈良国立博物館
 生誕1250年記念特別展 空海 KUKAI-密教のルーツとマンダラ世界
(4月13日~6月9日)

 奈良大学後援会見学会で3度目の観覧。後期の展示替え資料を中心に鑑賞。会のみなさんから熱心に質問をいただく。

5月26日
奈良県立万葉文化館
 特別展 生誕110年 佐藤太清展 水の心象
(5月18日~7月7日)

 文化財演習の現地見学の実習で明日香入り。学生たちは班別に自ら計画した見学先をあちこち巡っているので、教員も行きたいところを巡る。日本画家佐藤太清の作品を画風の変遷をたどりながら展観。福知山市佐藤太清記念美術館収蔵資料を中心に、大画面の代表作多数を集める。《夢殿》《暎》《佐田岬行》など。図録あり(250ページ、2750円)。亀形石造物見て、飛鳥寺お参りし、稲渕から農免道路通ってキトラ古墳へ。

キトラ古墳壁画保存管理施設
 第31回公開 国宝キトラ古墳壁画(西壁「白虎」、東壁「青龍」)
(5月18日~6月16日)

 キトラ古墳の壁画公開。白虎と青龍を鑑賞。オペラグラスを借りて10分間の濃い体験。

5月27日
奈良大学博物館
 企画展 太田古朴が見た山里の文化財-高野山麓・細川八坂神社の仮面群-
(5月27日~7月27日)

 無事開幕。太田古朴の仏像修理と納入品展開図の意義を再検証するとともに、依頼を受けて調査と修理をおこなった高野町細川地区の文化財を紹介することで、過疎・高齢化の進む現代社会における文化財保護のこれからのありかたについて考える内容。図録あり(16ページ、無料)。

5月30日
和歌山県立博物館
 特別展 紀州東照宮の宝刀
(4月27日~6月2日)

 紀伊徳川家歴代が紀州東照宮に奉納した刀剣27口を刀装具とともにずらりと並べ、その全貌を提示する。さまざまな地域・流派の刀身の特徴とそのみどころを示しつつ、奉納を巡る背景を踏まえて刀剣伝来の歴史を展示室内に立ち上げる。鑑賞支援のための用語解説類も充実。図録あり(80ページ、1200円)。

6月15日
唐招提寺新宝蔵
 春の新宝蔵公開中(3月1日~6月30日)に、期間限定で薬師如来立像、衆宝王菩薩立像、獅子吼菩薩立像とともに、大自在王菩薩立像と二天立像もいっしょに並んで公開中と院生に聞いてご拝観。ありがたや。おそらく6月17日まで。

和歌山県立博物館
 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年記念 聖地巡礼-熊野と高野- 第Ⅰ期 那智山・那智瀧の神仏-熊野那智大社と青岸渡寺-
(6月15日~7月21日)
 世界遺産登録20周年記念展の第Ⅰ期。那智山の文化財を熊野那智大社と那智山青岸渡寺から集約して展示し、滝と神と観音の重なる重層的な信仰のあり方を提示する。下御門仏師により天正19年~20年ごろに造像された熊野那智大社の熊野十二所権現古神像15軀を公開。那智経塚出土の青岸渡寺の重文金銅仏群や、重文那智大社文書など43件展示。図録あり(33ページ、700円)。

6月18日
あべのハルカス美術館
 徳川美術館展 尾張徳川家の至宝
(4月27日~6月23日)

 大雨の中美術史実習は大阪へ。徳川美術館の絵画・工芸のさまざまな種類の名品を選んで展観。太刀 銘 左(名物大左文字)、脇差 銘 吉光(名物鯰尾藤四郎)、能面平太(慈雲院殿作銘)、初音の調度、源氏物語絵巻など。図録あり(208ページ、3000円)。

葛井寺・道明寺
 雨もやんで観音の縁日に秘仏ご開帳を巡る。葛井寺千手観音坐像(奈良時代)、道明寺十一面観音立像(奈良時代末~平安時代初期)をじっくり。堂内の諸仏もいろいろ考えながら拝観。

6月23日
大阪歴史博物館
 特集展示 わたしが難波橋のライオン像をつくりました!! なにわの彫刻家 天岡均一没後100年記念展
(5月8日~7月8日)
  
 難波橋欄干のライオン像作者である天岡均一に着目し、多数の関連資料を集める意欲的な内容。明治8年(1875)生まれ、父は有馬の三田焼復興に携わった天岡源六。東京美術学校卒業ののち新納忠之介のもと最初期の国宝仏像修理に携わったのち、明治33年(1900)天王寺に天岡鋳金所を設けて活動。大正7年(1918)大阪彫塑会を結成、大正13年(1924)没。俳諧にも通じ、句幅や短冊も展示。再婚した妻蕗香の作品も紹介。およそ100点ほどの充実した内容。リーフレットあり(A3・両面)。

6月24日
高野山霊宝館
 企画展 金剛峯寺-その成り立ちと宝物-
(4月20日~7月15日)

 金剛峯寺の建造物群が新たに重要文化財指定されたことを記念し、金剛峯寺の成り立ちを特に中世から近代にかけての状況を示してその変遷をたどる。院政期の金剛峯寺方・大伝法院方・金剛三昧院方、南北朝時代以降の宝性院方(宝門)・無量寿院方(寿門)、中近世の学侶・行人・聖方(三方)と僧の集団の変遷と重なりにも目配りする。宝簡集、高野版板木、壇上寺家絵図などのほか、近代期の金剛峯寺では統合された近世の興山寺・青巌寺のうち青巌寺関連資料を多数紹介。初見の御宮并興山寺絵図は江戸時代後期ごろの興山寺と東照宮を描く貴重な資料。神仏分離で撤去された興山寺東照宮の建物は、本殿が普門院本堂、拝殿が普賢院本堂、経蔵が常喜院校倉、表門が普門院裏門に移築され現存することを学ぶ。図録なし。本館の展示では箱書きに張思恭筆と記され元時代とされる阿弥陀八大菩薩像に釘付け。高麗時代の作例と見るのがよさそう。本紙縦180㎝、幅80㎝ほどの大幅。眼福。南宋の伝薬師如来像(重文)も出陳中。

6月29日・30日
密教図像学会見学会

 東播磨の寺々を巡る。一乗寺、田中薬師堂、中古瀬薬師堂、万勝寺、鶴林寺、長楽寺、浄土寺、如意寺を拝観。

7月7日
MIHO MUSEUM
 奈良大和路のみほとけ-令和古寺巡礼-
(7月6日~9月1日)

 大和の古寺と伝来する魅力的な古仏を紹介。巡回展の2会場目。法隆寺観音菩薩立像(夢違観音)、薬師寺聖観音菩薩立像、東大寺弥勒仏坐像の国宝彫像を始め、法隆寺文殊菩薩立像、長谷寺銅造十一面観音立像、MIHO MUSEUM持国天立像、西大寺阿弥陀如来坐像、天理市合場町薬師如来坐像、當麻寺奥院中将姫坐像など飛鳥時代から江戸時代までの仏像を、関連する仏画や工芸品とともに紹介。来館者がまだ少なく、東院堂聖観音立像を独り占めして何度もぐるりとめぐりながら全体も細部もしっかりと拝観。至福。東大寺試みの大仏も法隆寺六観音(うち1軀)も独立ケースで正側背を鑑賞できるありがたさ。名作多数の充実した仏像展。奈良大学博物館の南都図屏風も展示中。図録あり(140ページ、2500円)。

7月9日
大和文華館
 特別展 レスコヴィッチコレクションの摺物-パリから来た北斎・広重・北渓・岳亭-
(7月9日~9月1日)

 美術史実習にて見学。ジョルジュ・レスコビッチ氏所蔵資料から摺物ばかりを集めて展示。小ロットの配布物として、精緻で凝った内容のもの多数。あべのハルカス美術館の広重展との連携展示。図録あり(2500円)。

7月16日
興福寺国宝館

 美術史実習にて見学。山田寺仏頭と西金堂の仏塔をじっくり。板彫十二神将像もみんなで行きつ戻りつしっかり鑑賞。 

8月日


9月日


10月日


11月日


12月日


1月日


2月日


3月日