展覧会・文化財を見てきました。

─展覧会鑑賞・文化財見学に関する勝手な感想─

最終更新日 5月14日


2022年度

4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月


4月3日
和歌山県立紀伊風土記の丘
 企画展 古代「紀伊国」の成り立ち-奈良・平安時代のわかやま-
(3月19日~6月19日)
 7~10世紀における「紀伊国」の成立と展開について出土資料から紹介。仏教関係では大洞寺墳墓出土の銅製骨臓器(和歌山県指定文化財)、鷺ノ森遺跡出土の鰐口は近時発掘された平安時代前期の資料。瓦は薬勝寺廃寺、上野廃寺、紀伊国分寺跡、西国分寺跡、佐野寺跡、田殿廃寺跡、山口廃寺、道成寺と充実。図録なし。

4月6日
奈良大学博物館
 奈良大学所蔵絵画優品展-初公開!南都・厳島図屏風-
(3月18日~4月23日)
 新職場内の博物館訪問。昨年度新たに収集した南都・厳島図屏風を初公開。南都図屏風は、春日社と御祭の行列を中心に、向かって右に興福寺伽藍及び奈良町と諸寺、左に東大寺伽藍と露座の大仏を描く、珍しい図柄の作例で、江戸時代前期の制作。露座大仏の面部はやや荒れたような描き方がなされ、今後の検討が必要だが、山田道安による銅板貼り付け修理の痕跡を描いている可能性あり。図録なし。

4月7日
薬師寺・唐招提寺・垂仁天皇陵・喜光寺
 新職場の新入生研修で西ノ京を歩く。薬師寺薬師三尊像、聖観音立像、唐招提寺金堂の三尊を久しぶりにご拝観。新入生があらゆるものに興味を持ってくれているようすを見て、こちらも初心を取り戻す。


4月15日
なら歴史芸術文化村
 開村記念特別展 やまのべの文化財−未来に伝える、わたしたちの至宝−
(3月21日~4月17日)
 開村記念の展示で、地元天理・桜井の山辺の道沿いの文化財を紹介。前半の考古資料は纏向遺跡出土の木製仮面(県指定)や茶臼山古墳出土資料、荒巻古墳出土の埴輪など。後半は仏教美術で、長岳寺の六道絵(県指定)9幅がずらりと並ぶ大ケースは壮観。天理市合場町の10世紀如来坐像(県指定)、天理市杣之内町の地蔵菩薩立像や焼損仏複製など。図録なし。奈良県の歴史・文化・美術を地域に密着して調査し展示公開する待望の県立施設であり、本展でも資料の伝わってきた場とその住民に寄り添う視点が示されていて、これからの活動にも大きく期待。

4月16日
高野山霊宝館
 企画展 鎌倉時代の高野山
(4月16日~7月10日)

 近時収蔵の龍光院承久記絵巻を軸に鎌倉時代の高野山を紹介。普賢院の五大力菩薩像の大幅(前期3幅・後期2幅)、不動院の善光寺式阿弥陀三尊像、丹生都比売神社の獅子・狛犬、正智院影向明神像、蓮華定院の伝行勝所持密教法具、宝寿院の伝叡尊所持密教法具、頼朝子貞暁が御社に奉納した梵字懸仏、金剛三昧院の高野版版木、金剛峯寺町石供養願文、金剛三昧院北条政子自筆書状、宝簡集から後宇多院院宣、源頼朝下文(後期)、阿弖河庄上村百姓等言上状(後期)、陀羅尼田関連文書などなど、多様な資料を公開。図録なし。

4月19日
東大寺法華堂
 美術史実習で東大寺へ。南大門仁王像を解説してから法華堂まで歩き拝観、観照。林立する仏像群を前に、近年の調査研究の進展と現在の各像位置づけについて説明。法華堂に入るの久しぶりで新鮮な気持ち。

4月23日
和歌山県立博物館
 特別展 きのくにの大般若経-わざわいをはらう経典-
(4月23日~ 6月5日)
 攘災の経典、大般若経にスポットを当て、和歌山県内の重要資料を集約して紹介。奈良朝写経を大量に含む紀美野町小川八幡神社経の東大史料編纂所との共同研究成果報告を軸に、600巻を一人で書写した一筆経の事例や、江湖僧や根来寺が関与して集積した取り合わせ経の事例、さまざまな版経の事例と、大般若経の受容と展開のあり方を地域史に即して提示する、大般若経受容史研究の到達点ともいうべき内容。奥書は地域史研究の上でも重要で、例えば小川八幡神社経中の奈良時代書写巻奥書に見える御毛寺は『日本霊異記』下巻17縁の「弥毛山室堂」との関連が指摘されるなど、寺院名や僧名など数多あり興味尽きず。展示室内にずらりと経典が34件125点(巻・帖・冊)並ぶ圧巻の大大般若経展。図録あり(98ページ、1200円)。

4月26日
京都国立博物館
 伝教大師1200年大遠忌記念特別展 最澄と天台宗のすべて
(4月12日~5月22日)
 学外実習で展覧会観賞。東京・九州・京都の国立博物館連携による伝教大師1200年大遠忌記念展の最終会場。最澄関係資料、天台教学及び密教関係資料、本山末寺の関連美術作品を集約。伝教大師請来目録(延暦寺)、刺納衣(延暦寺)、五部心観(園城寺)など宗門の重宝はじめ、宝相華蒔絵経箱(延暦寺)、六道絵(聖衆来迎寺)、線刻釈迦三尊等鏡像(泉屋博古館)など国宝を多数含む名宝ずらり。仏像では法界寺薬師如来立像、浄土曼荼羅刻出龕(耕三寺)、等妙寺菩薩遊戯坐像をじっくり観賞。興善寺釈迦如来坐像(寛治7年・1093)と薬師如来坐像は昨年度より修理事業が開始されていて寺外初公開となったもので、定朝様式の紀年銘作例を間近に観賞できるありがたさ。図録あり(416ページ、3000円)。

龍谷ミュージアム
 特別展 ブッダのお弟子さん-教えをつなぐ物語-
(4月23日~ 6月19日)
 令和2年春、展示作業完成しながらコロナウイルス感染症拡大により1日も開かれずに中止となった同名の展示を、一部資料を入れ替えつつ、満を持して再開会。仏弟子を巡る仏典の記述を追いつつ、十大弟子や羅漢などさまざまに表されたその姿を紹介。十六羅漢像の諸本を清凉寺本(北宗・国宝)、東博本(平安・国宝)、妙興寺本(元・重文)、月橋院本(鎌倉・重文)、禅林寺本(鎌倉・重文)、津観音大宝院本(明)と多数収集するほか、大徳寺五百羅漢図(南宋・重文)、長谷寺大般若経仏(朝鮮王朝)、如意輪寺龍華会図(朝鮮王朝)、白鶴美術館薬師如来説法図(五代)、西教寺礼仏弥陀懺法(明)など中国・朝鮮の資料を積極的に集積し、アジア全体を俯瞰しながら仏教の思想と文化を見つめる同館の特色を遺憾なく発揮。彫刻では京都国立博物館十大弟子立像(鎌倉・重文)、海雲寺迦如来坐像及び阿難・迦葉立像(南北朝・康俊作)、泉涌寺羅漢坐像(室町)など。図録は2年前に発行した同名図録(216ページ、2200円)及び、今回追加出陳した資料を掲載する別冊(72ページ、1200円)の2冊組み。


4月27日
奈良国立博物館
 特別展 大安寺のすべて-天平のみほとけと祈り-
(4月23日~6月19日)
 
大安寺1300年の歴史と文化を、奈良時代彫像と多数の考古資料による古代寺院の姿、著名な霊験像たる大安寺釈迦像への追憶、大安寺に関わる古代の高僧、中世大和における大安寺の位置づけにテーマを分けて紹介。同寺伝来の9軀の奈良時代彫像が全て四囲より観賞できる貴重な機会であり、その中でも秘仏本尊十一面観音立像は、頭部を江戸時代の後補とするものの、請来檀像を彷彿とさせる諸表現とともに、誇張のない自然な抑揚の肉身表現の中に、腰を捻って左大腿部を前へ出す動きを的確に表し、立体表現として際だった完成度を示す。四天王立像のうち伝持国天立像も緊張感にあふれた造形。眼福。ほか、展示文脈構築にあたり、長谷寺法華説相図、奈良博刺繍釈迦如来説法図(前期)、東大寺倶舎曼荼羅(後期)、岡寺義淵僧正坐像、文化庁虚空蔵菩薩坐像、薬師寺八幡三神坐像、西大寺金銅透彫舎利容器といった奈良博所蔵・寄託資料の名品を有効に活用しつつ、神護寺釈迦如来像(赤釈迦・後期)、西住寺宝誌和尚立像、神応寺行教律師坐像、永興寺四天王立像など、大安寺との意外な接点を有する資料も集め、展覧会名からの想像を超えるバラエティに富んだ内容。必見。図録あり(224ページ、2500円)。


5月10日
大和文華館
 特別企画展 泰西王侯騎馬図屏風と松浦屏風-越境する美術-
(4月8日~5月15日)

 学外実習で展覧会観賞。前近代の日本美術における洋風画に着目して資料を集める。戦国期のキリシタン絵師による泰西王侯騎馬図屏風(重文・サントリー美術館)、婦女弾琴図や、江戸時代前期の南蛮屏風、南蛮風モチーフを含む松浦屏風(国宝)、江戸時代後期の小野田直武筆江の島図、司馬江漢筆海浜漁夫図、亜欧堂田善筆駿河湾富士遠望図、石川孟高筆少女愛猫図など、館蔵の名品をフル活用して、初期洋風画、南蛮美術、後期洋風画の諸相を一望する貴重な機会。サントリー美術館から特別出陳の資料について解説したリーフレットあり(カラー4ページ)。 

5月13日
なら歴史芸術文化村
 企画展 観音のいます地−三輪と初瀬−
(4月29日~6月19日)

 開村記念展示に引き続き桜井・天理の文化財をクローズアップ。三輪と初瀬、それぞれを観音というタームでつなげ、展示室に9体の十一面観音像を林立させる。桜井市三輪・平等寺の秘仏本尊十一面観音立像は広葉樹の一木より大略を彫出した11世紀の作例、桜井市狛・長福寺十一面観音立像は狛寺伝来資料とみられる12世紀の作例、桜井市白木・安楽寺の十一面観音立像は元貝ヶ平山麓金平山寺伝来と伝わる南北朝時代の作例(市指定)。天理市福住・西念寺の十一面観音立像は、享禄4年(1531)実清作で宿院仏師源四郎・源次が番匠として助作にあたった宿院仏師研究上の重要作例。聖林寺十一面観音立像の精巧な模刻像は東京藝術大学朱若麟氏の手になるもので、ライティングも工夫されて荘厳な雰囲気。聖林寺像の木心部構造模型(東京芸大製作)や、大正4年に修理された際の奈良県庁文書(奈良県立図書情報館蔵)も紹介。地域に密着した調査活動によって見いだされた初公開資料を含む文化財に間近に接し、情報を共有化することのできる施設がある素晴らしさ。大学等との積極的な連携による仏教美術・文化財の普及啓発用資料の製作も特筆される活動。図録あり(38ページ、1000円)。

6月

7月

8月

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10月

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12月

1月

2月

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